花火を見に行きました
花火って夏の終わりを感じませんか。夕闇にビニールシートに腰掛けて花火を待つ。本当は浴衣を着たいところでしたが、ちょっと長めのスカートにタンクトップにカーデガン。
カップルと家族ばかり、あまり周囲に関心がない。実は女装して行くには最適。
花火が始まる頃には夜風も出てきたりして、ウィッグの髪の毛が顔にまとわりつく。
ビールを買って、スナック菓子を片手に見ておりました。
ふと、隣を見ると若いカップル。花火を見て、楽しげな会話。
7時からはじまった花火も終わりに近くなった頃。カップルさんの男性が私の肩を叩く。実はドキッとしたんですね、私。私は、小さな声で
「はい?」
と呟くが、花火の音にかき消される。
「よかったら、これどうですか?おねえさん」
男が缶ビールを差し出す。少し、驚いた顔をすると、男は微笑んで、
「余っちゃったんです、持って帰るのも、なんなんで」
むにゅー。私はゴミ箱かあ。でも、さっきの「おねえさん」って言葉が嬉しくて、
「ありがとう、いただきます」
答えてしまった私。横すわりの素足が自分でも色っぽいなって思いつつ、ビールを飲む。おー、大人の女だろう、わし!
花火が終わった後、カップルさんが私に
「さようなら」
って言ってくれた。気持ち悪い女装だったら、そうは言われないよな。私も「さようなら」って答えて、ちょっと夢を見た花火大会でした。